この記事はブリッピングを使ったシフトダウンをやったことのない方向けにシフトダウンの流れと操作方法について説明する入門編の記事になります。
MT車でシフトダウン(ギアを下げる)をするには基本的にブリッピングと呼ばれる操作が必要になります。
ブリッピングとはアクセルを煽りエンジン回転数を意図的に上げる方法です。
シフトダウンにブリッピングは必須ではないですが、教習所で教わる方法では車の速度やタイミングなどある程度の条件が揃わないとできない方法のため一定の制約を受けます。
しかしブリッピングを使うことでこの制約を受ける事なくシフトダウンをすることができます。
この方法は本来モータースポーツなどでエンジンパワーが出る高いエンジン回転数を維持したままシフトダウンするのが目的で行われるテクニックですが、このテクニックの本質はどんな状況下でも好きなタイミングでシフトダウンする事ができるところにあります。
このテクニックが使えるようになるとシフトダウンの状況を選ばなくなることから運転操作の幅を広げることができます。
またMT車の醍醐味である「操っている感」を感じることもできるので運転の楽しさを味わうことのできるテクニックでもあります。
興味のある方はぜひともマスターしましょう。
ブリッピングを使ったシフトダウンの方法
ブリッピングを使ったシフトダウンの方法は以下になります。
- クラッチを切りその状態を維持する
- ギアを一段落とす
- ブリッピングをしてエンジン回転数を上げる
- クラッチをつなぐ
1 クラッチを切りその状態を維持する
クラッチを一気に一番奥まで踏み込んでスパッとクラッチを完全に切ります。
そしてクラッチは奥まで踏んだままにしてクラッチが切れた状態を維持します。
2 ギアを一段落とす
クラッチが完全に切れたらすかさず一つ下のギアに落とします。
高いギアから低いギアへ落とす場合はギアが噛み合うまで1秒くらいかかりますが、操作を急ぐあまりギアを無理やり押し込むとシンクロメッシュと呼ばれるギアの噛み合いを同調させる部品を痛めてしまいます。
なのでシフトノブは入れたいギアの入口付近で優しく押し当てる感じにして無理の無い力でギアが自然と噛み合うのを待ちます。
その状態を維持するとやがてギアが噛み合いシフトノブが吸い込まれるようにスコッと入ります。
3 ブリッピングをしてエンジン回転数を上げる
ギアが入ったらアクセルをポンと煽りブリッピングをして車速に合うエンジン回転数まで上げます。
以下は車速線図とよばれるグラフでそれぞれのギアにおける車速とエンジン回転数の関係を示したグラフになります。
例えば4速で60km/hの場合エンジン回転数は2110rpmということがわかります。
そして3速で60km/hの場合エンジン回転数は2700rpmということもわかります。
なので同じ60km/hで4速から3速へギアを落とすには回転数を2110rpmから2700rpmに上げてあげないとギアと回転数が合わないことがわかります。
ブリッピングでエンジン回転数をどこまで上げるかは車種ごとに異なりある程度の練習が必要になります。
練習方法の詳細は次の記事で紹介しますのでここではシフトダウンの流れと操作方法について覚えましょう。
4 クラッチをつなぐ
ブリッピングで繋ごうとするギアでのエンジン回転数と車速が合ったらクラッチペダルを一気に離しクラッチをサクッと繋ぎます。
シフトショックを恐れるあまり半クラでジワジワ繋ぐのはクラッチの寿命が縮まるのでやめましょう。
クラッチを繋いだとき車速とエンジン回転数が合わないと繋いだ瞬間に衝撃が出ます。
俗に言うシフトショックというやつです。
車速に対してエンジン回転数が高い場合は後ろからどつかれるような加速方向にショックが出ます。
車速に対してエンジン回転数が低い場合は前につんのめるように減速方向のショックつまり急激なエンジンブレーキがかかります。
回転数の確認はタコメーターで確認できますが、シフトショック状態からエンジン回転数の過不足を判断したほうがブリッピングの感覚と車の挙動を感覚的に掴めるようになり上達の一助となりますので車の挙動でエンジン回転数が合っていたかどうかを判断するようにしましょう。
自動車教習所で教わるシフトダウンとブリッピングを使ったシフトダウンとの違いから見えてくるもの
自動車教習所で教わるシフトダウンとブリッピングを使ったシフトダウンの操作方法の違いを比較することでブリッピングを使ったシフトダウンの利点と必要性が見えてきます。
自動車教習所で教わるシフトダウンの方法
- ブレーキを踏み速度を落す
- アイドリング近くのエンジン回転数になったらクラッチを切りその状態を維持する
- ギアを一段落とす
- クラッチを(ゆっくり)つなぐ
ブリッピングを使ったシフトダウンの方法
- クラッチを切りその状態を維持する
- ギアを一段落とす
- ブリッピングをしてエンジン回転数を上げる
- クラッチをつなぐ
教習所で習うシフトダウンとブリッピングを使ったシフトダウンの一番の違いは教習所で習うシフトダウンではシフトダウンするためにはブレーキを踏んで車速を落とす必要があるところです。
教習所ではブリッピングは教えないのでエンジン回転数を自在に操るスキルは教習生にはありません。
教習生が唯一エンジン回転数を合わせる事ができるとしたらそれはアイドリングのエンジン回転数なので教習所のシフトダウンではそれを利用します。
教習所で習う方法でも普通に運転するぶんにはさほど困らずせいぜいシフトダウンが必要となるのは交差点を曲がる時くらいで、この場合は必然的にブレーキを踏んで速度を落とす必要があるのでエンジン回転数を合わせることを意識する必要もなく特に困る事はありません。
しかし、次の場合はそうもいきません。
- 上り坂でギアが合ってなくて思ったような加速が出来ずこのままだと失速してしまいそうなとき
- ある一定の速度で流れていたが流れが急に速くなり加速をしたいがギアがあってなくほとんど加速しないとき
これら全てで共通する状況は、現在のギアが合ってないため思ったような加速ができずシフトダウンしたいが速度を落とすことができない状況であるところです。
この状況で教習所のシフトダウン方法をやろうとしてもブレーキで減速してエンジン回転数をアイドリングまで落とすことができない状況なのでシフトダウンしたくてもできません。
一方、ブリッピングによるシフトダウンは車速を変えずにシフトダウンできるため状況を選ばずシフトダウンをすることができ、これをマスターするとで運転の幅が広がります。
まとめ
ブリッピングを使ったシフトダウンの方法は以下になります。
- クラッチを切りその状態を維持する
- ギアを一段落とす
- ブリッピングをしてエンジン回転数を上げる
- クラッチをつなぐ
ブリッピングによるシフトダウンの最大のメリットは車速を変えずにシフトダウンできるところで状況を選ばずすきなタイミングでシフトダウンできるところです。
ブリッピングはマスターするのがちょっと難しいですがデメリットはありませんのでぜひともマスターしておきたいスキルです。
ダブルクラッチやヒールアンドトゥはブリッピングによるシフトダウンから派生するスキルなのでこれらをやりたいひとは必須スキルとなります。
以下の記事はこの記事の続編になります。
この記事では紹介しなかったブリッピングでエンジン回転数と車速を合わせる練習方法について紹介します。
ブリッピング単独の練習は以下の記事を参考にして頂ければと思います。
それでは良いカーライフを。
ドライブで楽しんだ後は宿に泊まって体をしっかり休めましょう。