前回のおさらい
半クラッチをマスターしよう・入門編では半クラッチをマスターするためのコツを紹介しました。
このコツをマスターすることが半クラッチをマスターすることにつながることであることが分かりました。
そのコツとは、半クラッチをマスターした人は基本的にクラッチは3つの点の位置しか使わずその3点間を高速で移動し自在に操っているということでした。
その3点とは以下3点になります。
A: クラッチを完全につないだ状態
B: 程よくクラッチが繋がっている半クラ状態
D: クラッチを完全に切った状態
点Aと点Dの位置どりは練習するまでもありませんね。
残る点Bの位置どりを高速に行うことができるようになれば半クラッチをマスターしたと言っても過言ではないということです。
ここ基礎編では点Bの位置どりを高速に行うことができるようになるための練習をします。
それでは早速練習してみましょう。
程よくつながった半クラッチ状態を一瞬で作る練習
まずは安全な練習場所を探そう
まずは練習場所ですが、練習中は超低速での発進と停止を繰り返すことになります。
なので周りに車が居ない安全なところで、道路が舗装されていてブレーキをかけなくても勝手に車が動き出さない平地の場所を探しましょう。
ズバリ、おすすめの練習場所は「誰も居な広い駐車場」です。
クラッチに集中していて最初は周りに気を配ることができないので公道での練習はやめたほうがいいです。
どんなに交通量が少なかったとしても全く車が来ないとは限らないためです。
店舗の駐車場も他人の敷地で練習するのと同じことなので避けるのが吉です。
それではさっそく練習開始
フットブレーキとサイドブレーキをかけないで停車
平地に車を止めフットブレーキ、サイドブレーキともに掛けない状態をつくります。
この状態で車が動いてしまう場合は場所を変えましょう。
もちろんエンジンはかけた状態です。
アクセルを踏まずアイドリング状態で発進
アクセル操作は一切しません。つまりアクセルは一切踏みません。
エンジンがアイドリングの状態で車を発進させます。
左足に集中して、超・超ゆっくりクラッチペダルを上げていきます。
クラッチペダルを上げていくとそのうちクラッチが繋がり始めます。
クラッチペダルから伝わる振動からクラッチが繋がり始めエンジンの動力が徐々に伝わる感覚を感じながらクラッチをつないでいきます。
車の速度が人の歩く速度(2~3km/h)くらいになったらクラッチをその場で止めます。
そして止めているクラッチの位置を覚えます。
この位置を仮にB’としましょう。
この「クラッチをB’の位置で止めたままにすること」と「止めたクラッチのB’の位置を覚えること」が超・超・超重要です。
一度で覚えられなくてもいいです。どうせこれから何回もやることになるからです。
クラッチを動かさずB’の位置をキープし続けると、車の速度がそれ以上あがらなくなります。
車にもよりますが、だいたい5km/hくらいの速度になるかと思います。
このときクラッチとエンジンが同じ速度で回っており半クラッチ状態ではなくなります。
そしたら車を止めます。
この発進練習を何度も繰り返し「止めたクラッチのB’の位置」を覚えたられたら次のステップへ進みましょう。
クラッチのつなぐ速度を徐々に速くしてみよう
このステップではB’の位置へ持っていく速度を徐々に速くしていきます。
速くつなぐようにしたら車がガクガクとノッキングし始めたり、エンストしそうになったらそれはクラッチを強くつなぎすぎている証拠です。
その場合はB’の位置をほんの少し(1ミリ)くらい奥にします。
速くつなぐようにしても車がなかなか進み出さなかったらそれはクラッチを弱くつなぎすぎている証拠です。
その場合はB’の位置をほんの少し(1ミリ)くらい手前にします。
この練習を何度も繰り返しB’の位置を前後に調整しつつB’の位置までもっていく速度も速くしていきます。
練習を繰り返していくと。B’の位置もだいたい1点に収まります。
また、その位置までもっていく速度もスーッと1秒くらいでできるようになったら次のステップに進みましょう。
それでは一瞬で半クラッチにしてみよう
前のステップを繰り返しているとB’の位置調整が徐々になくなり、だいたい一つの点の位置で収まるようになります。
そうです。この点が冒頭で説明した「程よくクラッチが繋がっている半クラ状態」の位置Bなのです。
では早速クラッチを完全に切った状態Dの位置からBの位置まで一瞬で持って行ってその位置をキープしてみましょう。
本当に一瞬です。まばたきをするくらいの速度でパッっとBの位置までもっていきます。
もちろん、Bの位置は「程よくつながった半クラッチ」なので一気に持っていってもエンストすることもなく車は徐々に進み出します。
どうでしょうか?
うまくできましたか?
上手くいったらあなたは半クラッチをマスターしたと言ってもいいでしょう。
あとは、これを繰り返して確実に素早く安定してできるようになってください。
もしここでうまくいかなかったとしてもあなたは確実に上達しています。
もう一度前のステップに戻ってBの位置をものにして再びここのステップを挑戦してください。
最後に
ここの基礎編をマスターすると一気にMT車の運転が簡単になります。
人によってはこのクラッチ操作を通じてMT車の運転に魅力を感じ始める人も出てくるかもしれません。
クラッチをつなぐという操作は人と車とが対話をしているような感覚を覚える一つの操作であり、それがMT車を運転することの魅力になっているからです。
次の記事ではこの記事で学んだ半クラッチを応用して公道で運転するときに役立つテクニックを紹介していきます。
入門編、基礎編ともにアクセル操作については触れてませんがMT車のアクセル操作はクラッチ操作より難しいです。
クラッチはペダル操作に対してダイレクトに反応しますが、アクセルは踏んでも回転が上がるまで若干ラグがあります。そのため、回転が上がる前にクラッチをつないでエンストしてしまったり、あわててアクセルを踏みすぎたりして急発進してしまったりと、初心者の頃はアクセルとクラッチの連携が上手くできません。上手く発進出来ない原因がクラッチなのかアクセルなのかわからないまま練習してもなかなか上手くなりません。
そこで、先にクラッチ操作をマスターするとでアクセル操作に集中できるためアクセル操作も効率よくマスターできるようになるわけです。また、アクセル操作が上手くできなくてもクラッチ操作でカバーできるのでまずはクラッチ操作をマスターすることが優先でありアクセル操作は一切触れてきませんでした。
クラッチ操作とアクセル操作との連携は次の実践編で練習します。