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MT車における上手なクラッチの使い方・平地発進編

運転技術
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MT車を走らせるにはクラッチ操作が必要ですが、クラッチには「切る」「繋ぐ」「半クラッチ」の3つの状態があり、それを走行状況に応じて上手く使い分ける必要があります。

クラッチ操作に関して教習所で教わることはMT車を走らせるための最低限のスキルと言っても過言ではなく、それだけでは公道でMT車をスムーズに走らせるにはスキル不足となるのが実情です。

この記事では走行シチュエーションに応じたクラッチ操作について紹介しています。

今回記事で紹介するクラッチ操作について解説するシチュエーションは「平地発進」です。

前提スキル

この記事で解説するクラッチ操作をするにあたって前提となるスキルがあり、それは「一瞬で半クラッチができること」です。

詳細は以下の記事で解説しています。

尚、このクラッチ操作方法は特別なスキルではなくMT車の一般的なスキルでMT車の運転をある程度マスターすると誰もが使うスキルとなります。

上手なクラッチの使い方による平地での発進方法

平地発進における上手なクラッチの使い方とは、素早くかつスムーズに発進することのできるクラッチ操作です。

教習所でも発進方法については教わるわけですが、発進に時間がかかりあまり公道では使えない方法となります。

では教習所の方法と上手なクラッチを使った方法とでは何が違うのかそれぞれの発進方法について解説します。

教習所の発進方法

教習所で教わる発進方法は教習生を教習から脱落させないための初心者でもできる万人向けの発進方法になります。

しかし、この方法は発進に時間がかかり過ぎ公道ではあまり使えない非実用的な発進方法となります。

以下は教習所で教わるMT車の発進手順になります。

※ブレーキを踏んでギアをニュートラルにして左足はフリーな状態(交差点なとで停止している状態)からの発進を想定

  1. クラッチを一番奥まで踏みその状態をキープ
  2. ギアを1速に入れブレーキを離す
  3. アクセルを徐々に踏みエンジン回転数を2500rpmくらいでキープし続ける
  4. 踏んでいたクラッチペダルを(本当に)ゆっく〜りと徐々に上げる
  5. 車が少しずつ動き出しある程度速度が出たらクラッチを離し完全に繋ぐ

1 クラッチを一番奥まで踏みその状態をキープ

発進に向けてギアを入れるためクラッチを切りエンジンからの動力を絶ちます。

2 ギアを1速に入れブレーキを離す

アクセルを吹かすためにブレーキに使っている右足を解放します。

3 アクセルを徐々に踏みエンジン回転数を2500rpmくらいでキープし続ける

ある程度素早い発進をするためアクセルを吹かしエンジンのパワーを上げます。

4 踏んでいたクラッチペダルを(本当に)ゆっく〜りと徐々に上げる

クラッチペダルを本当にゆっく〜りと上げることでクラッチのミートポイントが分からなくても自然と徐々に半クラッチになりエンストせずに徐々にクラッチを繫ぐ事ができます。

5 車が少しずつ動き出しある程度速度が出たらクラッチを離し完全に繋ぐ

半クラッチによりエンジンの動力がタイヤに徐々に伝わり車が動き出します。

ある程度の速度まで達したらクラッチを一気に繫いで発進完了です。

教習所で教わる発進方法では時間がかかり過ぎる

教習所の発進方法はクラッチペダルを本当にゆっく〜りと上げることで半クラッチのミートポイントが分からない初心者でも自然と半クラ状態へ移行することができます。

初心者である教習生をはじめ万人が発進できる特別なスキルを必要としない手順になります。

しかしこの手順だとクラッチ操作の遅さから発進までは少なくとも5秒はかかります。

さらにその前にアクセルをふかし回転数をキープする操作も必要なのでさらに5秒はかかります。

トータルで最低10秒はかかるでしょう。

このような発進では公道だと遅すぎて高確率で後続車からクラクションを鳴らされるレベルであり、実用的ではない手順である事がわかると思います。

そこで多くの方は発進の遅さと後続車からのプレッシャーに押され、クラッチペダルを素早く上げるように操作してしまいます。

すると半クラッチの時間が短くなり、クルマが動きだす前にクラッチが全繋ぎになり車はエンストしてしまいます。

素早く発進したいのにクラッチ操作は素早くさせられないというジレンマに陥ります。

上手なクラッチの使い方による発進方法

上手なクラッチの使い方による発進はクラッチの使い方が教習所で教わるそれと根本的に違います。

しかしその方法は特別なものではなく最終的に誰もがこの発進手順に辿り着くに至って普通の方法になります。

※手順1,2は教習所の手順と同じで違うのは手順3からです

  1. クラッチを一番奥まで踏みその状態をキープ
  2. ギアを1速に入れブレーキを離す
  3. アクセルを2500rpmの位置まで一気に踏み込む
  4. 一瞬で半クラッチにする
  5. クラッチペダルの位置は動かさずキープ
  6. 車が段々と動きだす
  7. クラッチを完全につなぐ

1 クラッチを一番奥まで踏みその状態をキープ

※教習所の手順と同じなので割愛

2 ギアを1速に入れブレーキを離す

※教習所の手順と同じなので割愛

3 アクセルを2500rpmの位置まで一気に踏み込む

ここで必要なのは素早いアクセルワークですが今回の解説ポイントではないため操作方法については割愛します。

ただ、アクセルワークが身につくと目的のエンジン回転数まで一瞬でアクセルペダルの位置へ持っていく事ができるのでそれを想定した手順になります。

アクセルワークに慣れていないうちは教習所のやり方と同じでゆっくりと踏み徐々にスピードアップしていけば問題ないです。

※アクセルワークはクラッチワークより何倍も難しく、アクセルワークに気を取られているとクラッチワークの上達を阻害しますのでアクセルワークは一旦置いておいてクラッチ操作に集中しましょう

4 一瞬で半クラッチにする

ここの手順の「一瞬で半クラッチにする」は今回の重要ポイントの一つです。

前提スキルに提示した通り半クラッチはペダルをゆっくりあげ徐々につなぐのではなく、半クラッチに適したポイントがありそこまで一瞬でペダル位置を持っていき半クラッチ状態に移行させます。

そうする事で半クラッチした瞬間から最大限にエンジンパワーをタイヤに伝えることができるので半クラッチの時間を短縮する事ができます。

5 クラッチペダルの位置は動かさずキープ

半クラッチのペダル位置は動かさずに同じ位置をキープするのが今回の最重要ポイントであり、かつ上手くMT車を発進させるためのコツでもあります。

車のような重い物体は動き出すまでに時間が掛かります。

なので半クラッチをある程度継続して時間をかけて徐々に車体に力を伝える必要があります。

しかし多くの方が素早く発進しようとクラッチペダルを動かしクラッチの繋ぎを強めようとして失敗(エンスト)します。

素早い発進のためにクラッチペダルを動かしクラッチを繋ぎ増しをする事自体は間違っていないのですが、それに合わせてアクセルペダルの踏み増しも必要になります。

そしてこれはかなり繊細なアクセルとクラッチ操作が求められる超上級者テクニックになります。

なぜなら、クラッチとアクセルの踏み増し量とタイミングを連動させる必要があり、かつその踏み加減は数ミリレベルになるからです。

どうしても加速を早めたいのであればクラッチの負担が大きくなるのであまりおすすめしませんが、アクセルのみの踏み増しをおすすめします。

そうする事でクラッチ操作ミスによるエンストは回避でき、かつエンジン回転数の増加によりパワーの増加が見込めます。

6 車が段々と動きだす

半クラッチにより徐々にパワーがタイヤに伝わり車が動き出し加速します。

ここでもクラッチペダルの位置は前手順から一切動かさずキープします。

7 クラッチを完全につなぐ

車が動き出し加速する事でエンジンの回転数とクラッチ側の回転数が徐々に近づき、最終的には同じとなり半クラッチ状態ではなくなります。

そうなったらもう半クラッチの位置をキープする必要はなくなりますのでクラッチペダルを一気に上げ(離し)クラッチを完全に繋ぎます。

クラッチを上手に使うと発進にかかる時間は数秒

上手なクラッチの使い方による発進方法を文字にするとその文字数から時間がかかりそうに見えますが、実際はどの手順もそれぞれコンマ数秒から長くても2秒程度しかかかりません。

なのでトータルでは長くても3秒程度しかかからず素早い発進が可能になります。

  1. アクセルを吹かす(コンマ数秒)
  2. 半クラッチにする(コンマ数秒)
  3. 半クラッチをキープ(1〜3秒)
  4. クラッチを完全につなぐ(コンマ数秒)

最初のうちは3秒で発進する必要はありません。

徐々に素早さを上げて行き、最終的に3秒程度で発進できれば良いだけですので焦らずじっくり練習してみてください。

また3秒で発進できるようになってもいつも必ず3秒で発進する必要はありません。

今回紹介した手順はあくまで最速3秒で発進できる手順というだけです。

なので前方の車の加速状況に合わせてアクセルの踏み加減や半クラッチの継続時間などで加速具合を調整します。

クラッチ操作は最初のうちは煩わしいくらい面倒な操作に感じますが、エンジンが車へ伝えるパワーを自在に調整できる事からAT車には無い繊細な動きも可能にします。

そんなことからクラッチに慣れると逆に常に進もうとするAT車のクリープ現象の方が煩わしいと感じるようになるくらいです。

そこまでくるとMT車の運転が楽しくて仕方なくなるでしょう。

なので是非ともクラッチ操作には慣れて頂きたく思います。

それでは良いカーライフを。