MT車を運転するにあたって必要となるスキルの一つに「半クラッチ」というのがあります。
MT車は発進やギアを変える際にエンジンの動力をギアから一旦切り離す必要があり、その際に使うのがクラッチになります。
そして半クラッチはエンジンの動力をすべてではなく、一部だけ伝えることを言います。
この半クラッチですが、数ある車の運転スキルの中でも難易度が高めとなっています。
なのでいくらやってもなかなかうまくできるようにならないドライバーも多くおり、特に初心者である教習生は教習中に上手くできるようにならずMT車免許をあきらめてAT車免許コースに移る教習生がいたりするくらいです。
免許を取得された方でもスムーズな半クラッチができず、全然ドライブが楽しめなくなりMT車に乗るのをやめてしまうドライバーも少なくなくありません。
MT車に乗るのをあきらめさせるくらいの難易度である「半クラッチ」ですが、実はたった一つのコツをつかむだけで劇的にクラッチ操作が楽になります。
半クラッチが難しいとされている理由
そもそもなぜ半クラッチが難しいとされているのか?
その理由には以下の2つが原因と考えられます。
- クラッチのつながる感覚がつかめない
- クラッチ操作をミスるとエンストしてしまう
1.クラッチのつながる感覚がつかめない
クラッチ操作自体はとても簡単でクラッチペダルを踏んだり離したりするだけです。
ブレーキとペダル操作の要領と同じです。
ただ、クラッチはペダル操作に対しての車の挙動がわかりづらいという特徴があり、これがペダル操作感覚を養いにくくしています。
ブレーキであればブレーキペダルを踏んだ力に応じて車の減速力が変わるというわかりやすい形で車の挙動として現れるため、ペダル操作と車の挙動がダイレクトにリンクするのでペダルの操作感覚を養うのは容易です。
一方、クラッチはペダル操作に対して車の加速という形で挙動が現れます。
エンジンの動力がクラッチを通してギアに伝わり、それがタイヤへと伝わり車は加速していきます。
しかしそれはかなり癖のある挙動になり、エンジン回転数、クラッチのつながり具合や繋いでいる時間と様々な要因が複雑に絡んだうえ、車の挙動も複雑な形で現れます。
2.クラッチ操作をミスるとエンストしてしまう
なのでクラッチペダル操作と車の挙動が非常にリンクしづらくペダルの操作感覚を養うのを非常に困難にしています。
エンジンはある一定の負荷を超えるとエンジンの力が負荷に負けて止まってしまうエンストというのが起きます。
MT車の場合クラッチ操作のミスでクラッチを繋げすぎるとエンジンが負荷に耐えられずエンストしてしまいます。
クラッチのつながる感覚がつかめていないスキルレベルの場合、そもそもエンストしたときにどのくらいクラッチを繋ぎ過ぎたのかすらわかりません。
なので今回の失敗が次に生かせず再び同じ失敗を繰り返すこととなり一向にペダル操作感覚は養われないのです。
そのうえ、エンストの繰り返しでエンストの恥ずかしさと動揺で恐怖心が芽生え、クラッチペダルの感覚を養うどころではなくなるという悪循環に陥てしまうことも多くあります。
半クラッチが難しいとされる理由は分かったが、では半クラッチをマスターした人はどうやってその域に達したのか疑問に思うと思います。
スキルの難易度の高さから血のにじむような努力の末勝ち取ったスキルなのか?と思ってしまいがちですが、全然そんなことはありません。
そもそもマスターするのにそんなに努力が必要とされるのであればMT車は普及しないはずです。
実は半クラッチはあるコツさえ掴めばすぐに誰にでも簡単にできるようになります。
半クラッチをマスターするためのたった一つのコツ
「半クラッチは線ではなく点で使う」
半クラッチのコツを一言で表現するとこのようになります。
どういうことかというと、半クラッチはクラッチペダルをある範囲(線)で操作してつながり具合を調整するのではなく、ある一点しか使わないという意味です。
(以降、この「点」を「半クラポイント」と表現します)
半クラッチをするときはいつも同じ半クラポイントを使うのでクラッチペダルはいつも同じ位置になります。
なので結果としてクラッチ操作は「クラッチを切る」「半クラッチ(半クラポイント)」「クラッチを完全につなぐ」の3点でしか扱いません。
以下は半クラッチの練習方法を書いた記事になりますので練習の参考にしてください
※上級者になるとこの半クラポイントに対してクラッチペダルを微調整してエンジンの回転数などに合わせ最適なクラッチのつながりを実現していますが、いずれにしても半クラポイントが基準になっていることに変わりはりません
半クラポイントの「点」とは何処のことか?
半クラッチには半クラポイントなる「点」がある話をしましたがましたが、ではこの「点」とは何処なのか?
それは「アイドリング発進ができる半クラッチのポイント」です。
アイドリングとはいえエンジンは回っているので力は弱いもののゼロではありません。
なのでアクセルを吹かさずアイドリング状態でも半クラッチは可能であり車を発進させることができます。
半クラポイントの何が特別なのか?
半クラポイントが他のクラッチポイントと何が違い、何が特別なのか?
それにはそれ相応の理由があります。
- 半クラッチのポジションが一定になるのでペダル操作感覚の「基準」ができる
- エンジン回転数が最低のアイドリング状態でもエンストしないのでエンストとは無縁になる
- 一瞬で半クラッチができるポイントである
1.半クラッチのポジションが一定になるのでペダル操作感覚の「基準」ができる
半クラポジションをマスターするには練習が必要になりますが、その練習過程で半クラポジションにおけるクラッチ操作とクラッチのつながる感覚がわかるようになります。
この半クラポイントにおけるペダル操作と車の挙動の感覚が「基準」となり、その後の感覚の成長を大きく飛躍させます。
2.エンジン回転数が最低のアイドリング状態でもエンストしないのでエンストとは無縁になる
半クラッチはエンストの恐怖との闘いと言っても過言ではありません。
しかし、エンジン回転数が最低のアイドリングで半クラッチをしてもエンストをしないということは、それ以上のエンジン回転数となるほかの状態でもエンストしないことになります。
なので如何なる状況で半クラッチをしてもエンストはしないことになるのでエンストとは無縁となりエンスト恐怖からは解放されます。
3.一瞬で半クラッチができるポイントである
2と被りますが、アクセルを吹かさなくても半クラッチができるということはアクセルの吹け上がりを待たなくても半クラッチにできるということであり、それはつまりどんな状況からでも一瞬で半クラッチにしてもいいということに他なりません。
ちなみに、ここで言っている「一瞬」ですが時間にして0.2秒くらいです。2秒ではないです。0.2秒です。
半クラポイントまで一瞬でペダル操作ができるようになると発進時の半クラを作るまでの時間が劇的に早くなり、素早く発進できるようになります。
これら1,2,3が合わさることでクラッチ操作が劇的に簡単になります。
特に3の一瞬で半クラポイントにできるようになればほぼ半クラッチはマスターしたといってもいいでしょう。
半クラッチをマスターするコツについて解説しましたが、マスターするとMT車の運転感覚が劇的に変わります。
何も考えなくても体が勝手に反応して一瞬で半クラッチができるようになるので本当にMT車の運転を楽しむことができるようになりますのでぜひともトライしてみてください。
それでは良いカーライフを。