車を運転しているとき親切心から相手の車に道を譲ったことがあるドライバーは多いと思います。
譲った方も譲られた方もどちらもお互い良い気分になりwin-winの関係で万事問題無しというのが一般論だと思います。
しかし何気なく道を譲ったことで相手を危険にさらしてしまう可能性があるのをご存じでしょうか?
今回は道を譲ることで発生する危険性について考えてみたいと思います。
相手の車を事故の加害者にさせないための知識として役立てて頂ければと思います。
道を譲る行為は本来危険な行為であり譲る側は相当の運転スキルを要する
道を譲る行為自体は道徳論としては正しいことです。
しかしそれが安全な行為であるかはまた別の話になります。
交通ルールでは状況に応じて自分と相手どちらの行動が優先なのか優先順位が決められています。
ですが道を譲る場合、その多くが交通ルールに反する行為を道を譲った相手に促すことになるため事故が発生しやすい状況が生まれてしまいます。
なので道を譲る場合は譲られた側がそのまま走行しても危険ではないことを譲る側が担保したうえで道を譲ってあげる必要があるのです。
そしてさらにこの担保は譲った相手だけでなくそれ以外の周りにいる他の車両や歩行者にも必要になります。
なので通常の走行よりも配慮する対象が格段に増える分、通常の何倍もの運転スキルが求められることになります。
次に挙げるのは普段良く見かける道の譲り合いですが、そこにはどんな危険があるのか考えてみます。
皆さんも他の人がやっている譲り合いをただ真似ているだけで危険な状況を作り出してしまっていないか考えてみてください。
対向車線の右折車に道を譲るとき
こちらの車線の車列が途切れず対向車線で右折待ちしている車がなかなか右折できないでいるとき、車速を落として右折できるスペースを作ってあげて右折待ちの車に道を譲った場合です。
このとき発生する危険性とは対向車線の右折車とこちらの車線の路側帯(車線の左側の隙間)を走行してくる車両やその脇の歩道の通行人との衝突です。
交通ルールでは直進車が優先であるため、右折車は直進車の走行を妨げないように車列が途切れるまで待たなければならないことになっています。
また歩道に歩行者がいれば当然ですが歩行者が優先になります。
なので路側帯で直進している車両は自分を妨げてくる対向車はいない前提で走行しています。
対向車に対して多少の注意はするとは思いますが意識の多くは自分の車線側にあるのが普通です。
そのような状況においてある車が対向車線の右折車に道を譲ったとします。
このとき譲った車と譲られた車は双方で意思疎通ができているためこの両者で事故を起こすことはまずないと考えられます。
それに対して譲った側の車線で路側帯を走る二輪車や歩道の歩行者は基本的には車線の車の流れとは別の流れで走ります。
車が速度を落としたり停車しても二輪車や歩行者はそれに合わせて速度を落としたり止まったりは基本しません。
なので二輪車や歩行者と対向車線の譲られた右折車が衝突する可能性が非常に高くなります。
譲られた側の車は邪魔にならないように急いで渡らなければという心理が働くので注意が散漫になりやすく、また路側帯や歩道は譲った車やその後続車により死角になりやすいので確認が不十分のまま右折する状態になりやすきので事故が起こりやすい状況となります。
もしあなたが譲る側であれば路側帯からのすり抜けがないか、歩道に通行人がいないか確認した上で譲るようにしましょう。
譲られた側は路側帯からのすり抜けがないか、歩道に歩行者がいないか慎重進みながら焦らず徐行で右折しましょう。
脇道から車線をクロスして対向車線へ渡ろうとする車を譲るとき
左側の脇道からこちらの車線をクロスしながら対向車線へ渡ろうとしている車を譲る場合です。
こちらの車線が渋滞や信号待ちなどで車列が続いているとき左の脇道から来た車が右側の対向車線へ渡りたくても隙間が無いため対向車線へ渡れません。
その状況を察し車間を少し開けて車が対向車線へクロスして渡れるように譲ってあげる場合があります。
実はこれは非常に危険な譲り合いになります。
なぜなら隙間を開けてもらったとはいえ車が通れる程度の隙間しかないので譲られた車としては左右の車がブラインド(死角)となり対向車線の車の往来を全く確認できないからです。
例えるなら高いブロック塀に囲まれ道幅の狭いカーブミラーのないT字路を渡るのと同じ状態です。
カーブミラーがなくブロック塀が死角になり車が来るかどうかが全く確認できないこんな危険なT字路なんて絶対に渡りたくないですよね。
カーブミラーがないので車の往来を確認するにはT字路にある程度侵入しないと確認できません。
が、もし侵入したタイミングで車がきたら衝突してしまいます。
まさに運任せです。
このような危険な状態を作り出してしまう譲り合いであることを譲った側は認識すべきです。
当然譲られた側も同じ認識を持つべきなのですが多くの人は譲られた焦りからなんとしてでも渡ろうとしてしまいます。
そして運が悪いと衝突という最悪の結果を招いてしまいます。
このことからこの間をすり抜けさせる譲り合いはやめたほうがお互いにとって賢明です。
たまに車間が開き死角が緩和されるときがありますがそれでも危険であることは変わりないので譲るのは譲る相手が緊急車両とかなど余程の理由がない限りやめたほうがいいです。
側道からの合流で側道の車に譲るとき
側道から本線に合流して来る車に道を譲った場合です。
本線が渋滞していて道路の流れが停滞している場合であればこの譲り合いはまったく問題ありません。
本線の車も側道の車も合流時はほぼ停止状況なので事故に発展する危険性はほぼ生まれません。
この場合、側道の車と本線の車とて交互に譲り合う俗に言う「ジッパー合流」という公道暗黙のルールがあるのでそれに則り譲り合うのがベストです。
一方、本線が普通に流れている状態で側道から来る車のために道を譲るのは何のメリットもなくデメリットしかありません。
そもそも側道からの合流で前へ道を譲ったところで単に側道の車が自分の車より前に来るだけで双方には何のメリットもありません。
それどころか譲り合いにより両者が下手に接近することで衝突の危険性が生まれるというデメリットしかないのでこの譲り合いは避けるべきなのです。
ただ例外としては側道の車と自分の車との呼吸が合わずこのままだと衝突の危険のほうが高くなると予測できるときです。
たまに側道の車が思ったよりも速い場合があり、本線の車が加速しても側道の車の前に出られそうにないときがあります。
その時は無理に加速して下手に側道の車を追い越そうとするよりかは速度を若干落として譲る方が安全なのです。
もし車線が複数あるのであれば右車線へ移動して譲り合いの状況になるのを意図的に避ける方法もあります。
まとめ
譲り合い自体が交通ルールで定められた走行の優先順位に反した行為を譲る相手にさせることがほとんどなので本来は危険が多い行為なのです。
対向車線の右折車に道を譲るときは、譲る側の車線の路側帯の二輪車や歩道の歩行者と譲られた右折車との衝突の危険が高まります。
脇道から車と車の間をクロスして対向車線へ渡れるように譲るのは、譲られた車が対向車線の往来を確認できないので可能な限りやめたほうがいいです。
本線と側道の合流で側道から来る車に道を譲っても側道の車がただ単に前に出るだけ双方には何のメリットがないので本線の車は速度を緩めずさっさと前に行くか右車線へレーンチェンジして側道の車との譲り合いは避けるべきです。
譲り合い自体は悪いことではないです。
譲り合いはお互いを思いやる行為でもあるのでお互いにとって嬉しい気持になるのでついつい譲り合いしたくなってしまいます。
ですが相手を危険にさらしてしまう状況を作り出してしまうことが多いのも事実であり安全な譲り合いをするにはかなりの高度なスキルを要します。
自分が譲る側、譲られる側どちらの立場になってもここで紹介事例を知っていれば無用な事故はかなりの確率で防げますのであなたのドライブにこの記事を役立でて頂ければと思います。
それでは良いカーライフを。