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ブリッピングを使ったMT車のシフトダウンの方法・基礎編

運転技術
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MT車でシフトダウン(ギアを下げる)をするには基本的にブリッピングと呼ばれる操作が必要になります。
ブリッピングとはアクセルをポンッと煽って瞬時に目的のエンジン回転数まで上げるスキルです。

ブリッピングを使ったシフトダウンの操作手順においてブリッピングが一番難しい操作となります。
なぜなら、シフトダウン先のギアに合うエンジン回転数まで上げるアクセルワークと、何回転まで回転数を上げるかを瞬時に判断できる知識の両方をマスターする必要があるからです。
逆に言うとブリッピングさえマスターしてしまえばシフトダウンの基本はほぼマスターしたと言っても過言ではありません。

ブリッピングのアクセルワークの方法については、以下の記事で解説していますのでこちらを参考に学び練習してください。

この記事では何回転までエンジン回転数を上げれば良いかを瞬時に判断できるようになるための知識について解説をします。

シフトダウンでブリッピングするために必要な知識

シフトダウンでブリッピングするためには以下の知識が必要になります。

  1. 車速とギアとエンジン回転数の関係
  2. ブリッピングに必要なエンジン回転数の導き方

ブリッピングをするときにエンジン回転数を何回転まで回すべきかを瞬時にわかる必要がありますが、状況に応じた値を一つ一つ覚えておくのは難しいです。
そこで車速とギアとエンジン回転数がそれぞれどのような関係になっているか特性を知り、それをもとにエンジン回転数を導き出します。

車速とギアとエンジン回転数の関係

以下のグラフは車速線図と呼ばれるもので各ギアにおける車速とエンジン回転数の関係を表したものです。
縦軸がエンジン回転数、横軸が車速になります。

このグラフから車速とギアとエンジン回転数には以下の特性がある事がわかります。

  • エンジン回転数が上がると車速が上がる
  • 同じ速度走るには低いギアになるほどエンジン回転数を上げる必要がある
  • ギアが小さくなるほど隣り合うギア同士の回転数の差が大きくなる
  • 速度が上がるほど隣り合うギア同士の回転数の差も大きくなる

エンジン回転数が上がると車速が上がる

エンジンを回すほどギアが回りそれに比例してギアと繋がっているタイヤも速く回るので車速は上がります。
これは自転車など普段の生活で自然と体験していると思うので当たり前の感覚として体が理解しているためあえて説明する必要性はないと多くの方は思うかもしれませんが、ものごとの本質を知るには感覚ではなくなぜそうなるかという仕組みを理解することが重要です。
なのでエンジンの回転数が上がるほど速度が上がるのは車の仕組みとしてそうなるように設計されているからであり万物の共通な法則でもなんでもないということを理解していることが重要です。
そうでないと、CVT車などエンジン回転数が一定なのに車速はグングンあがる理由が理解できなくなってしまいます。

同じ速度走るには低いギアになるほどエンジン回転数を上げる必要がある

MT車やAT車の場合トランスミッションにギアは複数個ついていますが、エンジン1回転につきギアが回転する量はそれぞれのギアで違い、エンジン回転数とギアの回転数の比率をギア比と呼びます。

このギア比により3速と4速とで同じ速度で走るには3速の方が4速よりもエンジン回転数を上げないと同じ速度では走れません。
これもギア付きの自転車などを乗っている方は感覚で理解しているかと思いますが、これも自動車がそのような特性になるように設計されているからであり万物の法則でも何でもありません。

ではなぜそのような特性となるように設計されているかというと、走行状況に応じてパワーが欲しい時と速度が欲しい時があります。
同じエンジン回転数においても低いギアほど速度が出ない代わりにパワーが出て、高いギアほどパワーが出ない代わりに速度がでるようにすることで状況に応じた最適な走りができるようになります。

もし1速や2速のギアがなかったらどうでしょか?
つまり3速発進を常にすることになりますが、1、2速より3速はパワーがないので発進時からエンジンをブンブン吹かして発進する必要性が出てきてしまいます。
また4速や5速のギアがなかったらどうでしょうか?
3速でレブリミット(エンジン回転数の上限)まで回しても速度が全然出ません。
こんな車であったらそれが乗りにく車であるというのは想像に難くないと思います。
このような乗りにくい車にならないように各状況にあったギアが複数個装備されているというわけです。

車速線図にはパワーの表記はありませんが、スピードとパワーはトレードオフの関係になりますので状況に応じて適切なギアを選択する必要があることがわかります。

ギアが小さくなるほど隣り合うギア同士の回転数の差が大きくなる

前項でギア比の話をしましたが、この比率はギア同士で一定ではなくギアが低くなるにつれて隣り合うギア同士の比率の差も大きくなります。
車速線図からもわかるように同じ速度でもギアが小さくなるほどピンク矢印の線の長さつまり回転数の差が大きくなることがわかります。

シフトダウンの際はこの特性を理解してブリッピングで回転数の量を調整する必要があります。

速度が上がるほど隣り合うギア同士の回転数は大きくなる 

車速線図からもわかるように速度が上がるほどギア比の影響をうけ回転数差が大きくなります。
ピンク矢印より青矢印の方が同じギアでも速度が上がるとそれに比例して長くなることがわかります。

車速が一定である単なるシフトダウンではギア同士のギア比の差のみの考慮でブリッピングの量を調整すればいいですが、ブレーキングとシフトダウンを同時にやるヒールアンドトゥの場合は車速変化でもギア比の差が変化するのでより複雑な回転数差の関係となり、それも考慮しながらのブリッピングを行う必要があります。

このようにシフトダウンの際はギアの特性を理解しつつ各ギアに合うようにブリッピングでエンジン回転数を合わせあげる必要があるのですが、さすがにこの特性をすべて頭に叩き込んで瞬時に回転数を計算というのは事実上不可能です。
なので次のようにして一部は記憶、一部は計算とその精度を若干落とすことで大体の回転数が比較的簡単にスピーディーにできるようになります。

ブリッピングに必要なエンジン回転数の導き方

車速とギアとエンジン回転数の特性がわかったところでこれを踏まえ、ブリッピングするときに必要なエンジン回転数を導き出します。
何もない所からエンジン回転数は導き出せないので、基準を決めそこから導き出します。
具体的な流れは以下の通りです。

  1. 基準を決める
  2. 同じ速度で異なるギアのエンジン回転数を確認
  3. 1,2から他の速度での回転数の概算を算出
  4. 1から3を繰り返し実行して基準を増やす

1 基準を決める

通常の運転で一番多いシチュエーションを基準にします。
一番多いシチュエーションだと速度感やエンジン回転数などが感覚的にすでに身についている事も多く覚えるのに有利なのと練習できる機会も自然と増えるので効率的に練習できます。

ここからは以下のシチュエーションを基準とする場合を想定して説明していきます。

  • 車速50km/h、ギア4速、エンジン回転数1500rpm

2 同じ速度で異なるギアのエンジン回転数を確認

基準を決めたら次はその基準の車速とギアに対して一つ下のギアのエンジン回転数を確認します。

前項で基準を以下としました。

  • 車速40km/h、ギア4速でエンジン回転数1500rpm

なので次は同じ速度で一つ下のギアのエンジン回転数を確認します。

  • 車速40km/h、ギア3速でエンジン回転数か何回転?

確認の結果、2000rpmであることがわかったとします。

  • 車速40km/h、ギア3速でエンジン回転数2000rpm

そしたらこの3速の値を基準である4速とセットで覚えます。
そしてこれを覚える際に回転数の差500rpmを意識して覚えます。

3 1,2から他の速度での回転数の概算を算出

この500rpmが概算のときにとても重要になります。
1,2の結果をまとめると以下の通りとなります。

  • 車速40km/h、ギア4速でエンジン回転数1500rpm(基準値)
  • 車速40km/h、ギア3速でエンジン回転数2000rpm(基準値の一つ下のギア→3速)
  • 車速40km/hでギア4速と3速のエンジン回転数の差は500rpm

これらの値を使って以下のエンジン回転数を概算してみましょう。

車速40km/h、ギア2速でエンジン回転数は?
(基準4速の二つ下のギア→2速)

車速40km/hで4速から3速の回転数の差が500rpmだったのと、ギアが低くなるほど回転数の差が大きくなるギアの性質から3速と2速の回転数の差は500rpmよりちょっと多い600rpmくらいであると推測でき、

車速40km/h、ギア2速でエンジン回転数は2600rpm?

と概算できます。
概算値が算出できたら実際走らせてみて答えあわせをします。
実際走らせてみたら回転数の差が700rpmで2700rpmとわかったとしましょう。
ここで重要なのは答え合わせの結果2700rpmであることがわかったことよりも少しの誤差100rpmでエンジン回転数を概算できたことにあります。

この概算のスキルが身に付くことで実際に値を覚えてなくても大体の値は計算で概算できるようになることが重要なのです。
そして概算でいい理由は500rpm以下の誤差であれば、通常のクラッチであればクラッチのダンパーがある程度ショックを吸収してくれるので問題ないからです。

練習を重ねればそのうち回転数合わせの精度が増すので自然と概算の誤差は改善されます。
多少概算の誤差があっても算出の要領が理解できたらドンドン実践練習をして経験を重ね、そこで精度を上げるのが成長への近道です。

4 1から3を繰り返し実行して基準を増やす

1から3を繰り返し実行して基準を増やしエンジン回転数が概算できるシチュエーションを拡充していきます。
最終的には大体3、4つくらいの基準があると大体のシチュエーションはカバーできますのでそれまで繰り返します。
ただシフトダウンの練習に入るのは一つの基準ができた時点でOKです。
なぜなら、先にたくさん基準を作ってもそんないろんなシチュエーションでシフトダウンできるほどスキルに余裕がないからです。
ある基準でシフトダウンができてから、次の基準を追加して行けばOKです。

まとめ

ブリッピングするために必要な知識は以下の通りです。

  1. 車速とギアとエンジン回転数の関係
  2. ブリッピングに必要なエンジン回転数の導き方

車速とギアとエンジン回転数には以下の特性があります。

  • エンジン回転数が上がると車速が上がる
  • 同じ速度走るには低いギアになるほどエンジン回転数を上げる必要がある
  • ギアが小さくなるほど隣り合うギア同士の回転数の差が大きくなる
  • 速度が上がるほど隣り合うギア同士の回転数の差も大きくなる

ブリッピングに必要なエンジン回転数の導き方は以下の手順で導き出します。

  1. 基準を決める
  2. 同じ速度で異なるギアのエンジン回転数を確認
  3. 1,2から他の速度での回転数の概算を算出
  4. 1から3を繰り返し実行して基準を増やす

ブリッピングするために覚える事がたくさんありますが、慣れてくるとエンジン音を頼りにおおよそのエンジン回転数がわかるようになります。
なぜならエンジン回転数とエンジン音はリンクするからです。
なので最初はタコメーターを見て回転数を確認することになりますが、ブリッピングしているうちにエンジン音も一緒にききながらやることになるのでそのうち大体のエンジン回転数がわかるようになってきます。
そして、だんだんと音とリズムのみでブリッピングするようになるので最終的には感覚のみでブリッピングするようになります。

最初は習得に苦戦するかと思いますが、それを乗り越えたときにMT車特有の楽しさがより一層深まりますのでぜひともチャレンジしてみてください。

それでは良いカーライフを。

ブリッピングの方法は次のアクセルワークの上達方法のところで解説してます。