この記事では片道一車線の道路で後続車に道を譲る方法について解説します。
公道を走る際に一番最初に身につけるべき運転スキルは「後続車に道を譲るスキル」です。
なぜかというと、運転初心者はもとより例えベテランドライバーでも慣れない道を走ると必ず後続車に追い付かれる場面に遭遇するからです。
そこで無理してスピードを上げるのは非常に危険です。オーバースピードと後続車からのプレッシャーで事故を起こす確率が高くなります。
なので自分が事故を起こさないためと後続車に迷惑をかけないためには道を譲る事がお互いの車にとってベストの選択になります。
道路交通法の観点からも第二十七条「他の車両に追い付かれた車両の義務」として追い付かれた車は後続車に道を譲る義務が発生しますので法律の観点からも追い付かれたら譲るという選択肢を選ぶべきと言えます。
片道二車線以上であれば車線変更で譲れるのでさほどスキルは必要としませんが、片道一車線だと難易度がぐっとあがります。
安全に後続車に道を譲るにはある程度の知識とスキルが必要になります。
この記事では下道の運転を9年、17万キロ以上の走行経験を持ちその多くを山道と観光地道路を走行をした筆者の経験を踏まえ、片道一車線道路での後続車への道の安全な譲り方につてい解説します。
片道一車線道路での後続車への道の譲り方
片道一車線での後続車への道の譲り方は以下の手順になります。
(ここではすでに後続車との車間が車1,2台分とある程度詰まっている状況での譲り方を想定してます)
- 200m以上ある見通しの良い直線道路を選ぶ
- 対向車がいない事を確認して左ウインカーを出しアクセルを離す
- 車を左の路肩に徐々に寄せながら軽くブレーキを踏んでゆっくり減速する
- 全ての後続車が抜かし切るまでゆっくり減速をキープする
- 後続車が抜かし切るまでに停止してしまったらハザードを点灯し全ての後続車が抜かし切るまでその場で待機
- 全ての後続車が抜かし切ったら後方を再確認
- 停止状態ならハザードを消し、ゆっくり減速中ならブレーキを離した後右ウインカーを出しアクセルを踏んで加速して車線に戻る
一見手順は多いように見えますがこの手順のポイントは
- 十分な直線で左ウインカーを出し譲る初動を示し
- ゆっくり減速により後続車が追い越す状況へ徐々に移行させている
ところです。
なので手順が覚えきれないまたは操作に慣れない最初のうちはこの2点だけでも覚えておきましょう。
この2点を守るだけでも70点くらいの出来で道を譲る事ができます。
最終的には紹介した手順が無意識にできるようにしましょう。
無意識にできるようになると運転に余裕が生まれ、より安全に道を譲る事ができます。
次に各手順の詳細について解説をします。
なぜこのような手順を踏むのか手順の根拠などを解説しますので手順への理解を深めて頂ければと思います。
1. 200m以上ある見通しの良い直線道路を選ぶ
後続車に道を譲る第一歩は安全に譲ることのできる場所選びです。
後続車が追い越しをかける場合、追い越す車は対向車線にはみ出す事になります。
それを踏まえ後続車が追い越すにふさわしい道路状況を考えると、
- 対向車が確認できる見通しの良さ
- 追い越す為に必要な距離(200m以上)
が必須条件となります。
見通しの良さは直線道路が一番なので譲る場合は直線道路を選びます。
追い越す為に必要な距離は200mとしています。
これは筆者の経験からの独自の基準になりますが次の通り客観的にも妥当な距離といえます。
後続車が時速60kmで追い越す場合、時速60kmは秒速16.7mになります。
追い抜きに10秒かかるとして必要な距離は約170m、残り30mはマージンと考えると最低限必要な距離としては客観的にも妥当な距離といえます。
2. 対向車がいない事を確認して左ウインカーを出しアクセルを離す
追い越しに必要な直線が見つかったら早速後続車に譲る手順に移行します。
まずは対向車が来ていない事を確認します。
対向車が来ていても対向車とすれ違った後でもまだ追い越す距離が十分に確保できる場合はそのまま譲る手順を継続し、確保できない場合は見送ります。
対向車が来ない事が確認できたら左ウインカーを点灯し譲る意思表示をします。
そしてアクセルを離し最初はエンジンブレーキでゆっくり減速します。
左ウインカーではなくハザードランプ点灯が正しい使い方と言う意見もありますが筆者はあえて左ウインカーをおすすめしてます。
なぜなら、ハザードランプは緊急停止の合図であるため後続車がこれを見た場合は
- 緊急事態で急停止するかも
- 前方に障害物などの異常ありかも
などの意味で伝わる可能性があり追い越しに迷いが生まれてしまうからです。
直線が続く道路での左ウインカーであれば、緊急性の意味合いほぼ無くなるので直感的に路肩に寄ろうとしている意思が伝わります。
そして左ウインカーの後ですが、いきなりブレーキを踏むのではなくアクセルを離しエンジンブレーキで減速します。
なぜかというとブレーキを踏むとエンジンブレーキのみの減速と比べて減速力が強くなり後続車との車間距離が急に縮まってしまうからです。
車間距離が急に縮むと後続車にブレーキを踏ませてしまう可能性があり後続車が追い越しする際の加速でもたつく原因を作ってしまうからです。
3. 車を左の路肩に徐々に寄せながら軽くブレーキを踏んでゆっくり減速する
アクセルを離しエンジンブレーキで徐々に減速しつつハンドルを徐々に左に切って路肩に寄せます。
路肩に寄せきったら軽〜くブレーキを踏んで若干減速を強めます。
余程感の悪い人でない限りこのタイミングで追い越し始めてくれます。
とにかく、早くどかなきゃと焦って急な減速、急なハンドルをしないことがコツです。
急な操作は後続車に不信感を与え追い越しを躊躇させる原因になります。
4. 全ての後続車が抜かし切るまでゆっくり減速をキープする
全部の後続車が追い越し終わるまで路肩を走り続け減速ペースを一定にキープしやり過ごします。
5. 後続車が抜かし切るまでに停止してしまったらハザードを点灯し全ての後続車が抜かし切るまでその場で待機
後続車の台数が多かったり、追い越してに時間がかかる場合、減速しているこちら側はやがて停止します。
停止した場合はハザードランプを点灯させ、全ての後続車が追い越しが終わるまでやり過ごします。
6. 全ての後続車が抜かし切ったら後方を再確認
全ての後続車が追い越し終わったら、再度後方を確認して車線に戻っても大丈夫なことを確認します。
7. 停止状態ならハザードを消し、ゆっくり減速中ならブレーキを離した後右ウインカーを出しアクセルを踏んで加速して車線に戻る
車線に戻っても安全であることが確認できたら車線に戻ります。
停止状態でハザード点灯ならハザードを消し発進して車線に戻ります。
まだゆっくり減速で走行中ならブレーキを離し再度加速して車線に戻ります。
以上が後続車に道を譲る手順の解説になります。
筆者は今回紹介した方法で少なくとも100台は譲った経験がありますが、上手く譲れなかったことはありません。
紹介して手順では最終的にはこちらが安全に停止する手順になっているので確実に譲れるからです。
道を譲るのにかかる時間ですが、後続車が1〜2台の場合はだいたい10秒くらいで、最短だと5秒くらいしかかからないときもあります。
その最短5秒で譲れるときは譲る前から既に意思疎通ができている感じです。
特に山道なんかではコーナーの侵入速度、ブレーキのタイミング、脱出速度をどのコーナでも同じリズムにすることで後続車との意思疎通が図れます。
この状態でコーナを抜けて直線が見えたら左ウインカーを出しつつアクセルオフするとそのタイミングすかさず後続車は加速を始め追い越して行ってくれます。
一切の無駄なく流れるような連携プレイをしている感覚なので本当に超快感でクセになります。
野球で言う6-4-3のダブルプレイみたいな、
サッカーで言うサイドからのクロスボールにダイレクトボレーでゴールみたいな、
バスケで言うアリウープみたいな、
ピタゴラスイッチ的な何とも言えない絶妙な連携感が快感になります。
まとめ
片道一車線での後続車への道の譲り方は以下の手順になります。
- 200m以上ある見通しの良い直線道路を選ぶ
- 対向車がいない事を確認して左ウインカーを出しアクセルを離す
- 車を左の路肩に徐々に寄せながら軽くブレーキを踏んでゆっくり減速する
- 全ての後続車が抜かし切るまでゆっくり減速をキープする
- 後続車が抜かし切るまでに停止してしまったらハザードを点灯し全ての後続車が抜かし切るまでその場で待機
- 全ての後続車が抜かし切ったら後方を再確認
- 停止状態ならハザードを消し、ゆっくり減速中ならブレーキを離した後右ウインカーを出しアクセルを踏んで加速して車線に戻る
手順の意味を理解し無意識に手順が踏めるようにしましょう。
最後に
上手い運転とは相手に迷惑をかけない運転の事を言います。
道を譲る事がダサい、かっこ悪いと思っている方がいるようで追いつかれると意地になってスピードを上げるドライバーを時折見かけますが、後ろから見ていると残念なブレーキングとコーナリングで本当に危なっかしい運転になっていてかえってかっこ悪い運転になっています。
道を譲る事ができるドライバーは周りの状況がよく見えており自分の運転の力量をしっかり把握できている運転の上手いドライバーです。
追い付かれたらスマートに道を譲れる運転の上手いドライバーを目指しましょう。
それでは良いカーライフを。