前回の基礎編ではブリッピングの習得に特化した記事でした。
これはMT車をうまく発進させる手助けになるスキルであるためその習得を推奨してきました。
今回は習得したブリッピングを使ってMT車を発進させる実践編の記事になります。
ブリッピングを使った具体的なMT車の発進方法と、ブリッピングを使うことでこれまでできなかったことが新たにできるようになることについて解説いたします。
ブリッピングを使ったMT車の発進
今までは教習所で教わるアクセルをべたーっと踏み続けエンジンの回転数を上げて発進させていましたが、今回はブリッピングを使って発進させてみます。
まずブリッピングを繰り返してエンジンの回転数を維持させます。
ポンッポンッポンッとブリッピングを連続して行うことでエンジンの回転数を維持させます。
クラゲが海中をふわふわとホバリングするようにブリッピングを繰り返しエンジンの回転数をある一定の範囲内で上下させながら回転数を維持するイメージです。
(実際はクラゲみたいにゆったりではなく、結構リズミカルにブリッピングします)
ブリッピングをして回転数が上がりそこから回転数が下がり始めたところをさらにブリッピングして回転数の落ち際を拾う感じでブリッピングをしてあげるといいと思います。
目標回転数の±500~1000rpmの範囲で上下させるようにして回転数が維持できれば概ねOKです。
ブリッピングで回転数が維持出来たら、そこに半クラッチでクラッチを繋ぎ発進します。
クラッチの繋ぎ具合は発進の時の加速具合次第なので、半クラッチを継続する場合もあれば、断続クラッチでつなぐ場合もあります。
MT車の発進が慣れで徐々に簡素化させる
ブリッピング発進を続けていると慣れにより段々とブリッピングの回数と半クラッチの時間が減ってきます。
そして最終的にはアクセルはブリッピングで何度も吹かす必要性がなくなりアクセルを狙った回転数まで一気に踏んだら踏み込みをキープし、すかさず一瞬の半クラッチによる最短時間での発信ができるようになります。
エンジン音的には「ヴォーンッヴォーーン」てな感じ(うまく文字では表現できない。。。)で発進する感じです。
最初の「ヴォーンッ」がアクセルの踏み込みで、エンジンの回転数が狙ったとこまで一瞬で上がる音です。
次の「ヴォーーン」が半クラッチでクラッチを繋ぎそのあと完全にクラッチがつながるまでの音です。
大体これらの時間は1.0秒~1.5秒くらいです。
それまでブリッピングとそれを使った発進方法を説明してきましたが、最終的には教習所で教わるアクセルを踏んで~回転数を上げて~クラッチを繋いでの手順に戻るわけです。
しかし、ブリッピングの習得により一瞬で狙った回転数まで持っていけるアクセルワークの素早さと、半クラッチの操作の速度が初心者の行う発進とはまったくもって別物なので、たとえ操作手順が同じだったとしても目に見えないところで根本的に操作の違うことを認識しましょう。
ここまで説明してきて最終的に発進でブリッピングは使わなくなってしまいましたが、かといって発進でブリッピングが不要になったわけではありません。
次の説明ではブリッピングで発進しないとできない発進シチュエーションというものがあります。
ブリッピング発進の応用・その壱
ブリッピング発進の応用その壱は「超低速発進」です。
超低速発進は連続ブリッピングと断続クラッチを組み合わせて行います。
だらだら渋滞など止まっている状態からそろ~と超ゆっくりで発進する場合は、完全にクラッチを繋げないほどの低速で走行(概ね5km/h以下)のときに必要になるスキルです。
断続クラッチの操作イメージとしては、熱そうな温泉に入る前に手でちょんちょんちょんとお湯の熱さを確認しつつ徐々に温泉に入る時の「ちょんちょんちょん」のところが断続クラッチの操作イメージに近いです。
アクセルの操作イメージとしては、超ゆっくり発進と言えどは新するにはある程アクセルを吹かしクラッチに動力を伝える必要があります。
ただ、発進までの時間が通常より長いのでずったくせるをべたーつと踏んでエンジンを吹かし続ける必要もないのでクラッチを繋ぐ前にブリッピングで必要分だけ回転数を必要な分だけ回してあげます。
あとはこれを繰り返し、徐々にタイヤへ動力を伝えて必要な速度になるまで調整してあげればよいです。
ブリッピング発進の応用・その弐
前項の超低速発進ができるようになったらそれは繊細なアクセルワークとクラッチ操作をマスターしていることに他なりません。
このスキルを応用すれば坂道でブレーキを使わずにその場に留まるのも簡単にできるようになります。
坂道でブレーキを話した後、連続ブリッピングによる断続的なアクセルと断続クラッチを繰り返します。
車をホバリングさせるイメージで、後ろに下がろうとする力を連続ブリッピングと断続クラッチで抑えつつも前に進まないように操作の頻度、アクセルとクラッチの強さで調整します。
言葉にすると複雑な操作に見えますが感覚的に操作をするので慣れればさほど難しくはありません。
ここで一点注意ですが、この操作は半クラッチを多用するためクラッチの消耗が通常より多くなります。
なのでできるだけこの技は使わない方がいいです。
ここであえて紹介したのはアクセルワークとクラッチ操作をマスターするとここまで自在に車を操ることができるようになるという一例を示したかったからです。
まとめ
- ブリッピングというMT車独特のアクセルワークを理解する
- ブリッピング習得で狙ったエンジン回転数で回せるようになる
- ブリッピングを使って発進することでエンジンの無駄な吹かしが抑えられる
- ブリッピングと半クラッチの両方をマスターすると超低速発進&走行が可能になる
- ブリッピングと半クラッチの両方をマスターすると坂道でアクセルと半クラッチでその場に留まることができるようになる。
ブリッピングは主にシフトダウンの時に使うアクセル操作ですが、ブリッピングを習得することによりアクセル操作の精度が上がります。
また、ブリッピングはシフトダウンだけでなくいろんなシチュエーションでの応用ができ、運転スキルの幅を広げてくれます。
これを機会にブリッピングを習得してカーライフをより楽しいものとしてください。
それではよいカーライフを。