MT車の運転スキルで数あるスキルのうち最初に習得するのが「発進」ですね。
MT車を発進させるには半クラッチとアクセルを吹かすことの両方が必要です。
半クラッチは多くの方が苦労される話はよく聞きますが、アクセルを吹かすのが難しいといったような苦労話はあまり表に出できません。
ですが、実際のところ発進時のように適度にアクセルを吹かすのはクラッチより実は難しいです。
エンストを恐れるあまり強めにアクセルを踏んだらヴォーンとロケットスタートをするかの如く豪快に吹かしてしまったり、逆に吹かしすぎを恐れるあまり吹かしたりなくてエンストしてしまったりとMT車の発進には何かと苦労するものです。
アクセルワークが上手くなる方法の一つとして「ブリッピング」というアクセルワークの習得をお勧めします。
ブリッピングを習得するとエンジンの回転数を狙った回転数に合わせることができるようになるのでアクセルの吹かしすぎや不足が改善されます。
ブリッピングとは
ブリッピングとはMT車ならではのアクセルワークでアクセルを煽る、つまり空ぶかしをするアクセルべダル操作のことをいいます。
ブリッピングをする目的はエンジンの回転数を一瞬で狙った回転数まで回すためです。
なぜそのような操作が必要になるかと言うと、それは主にシフトダウンするときに必要になるからです。
例えば、4速と3足とで同じ速度で走るには、3速のギアは4速のギアより多く回す必要があります。
なので、4速から3速へシフトダウンするには4速より多く回っている3速のギアの回転数にエンジンの回転数を合わせる必要があり、ブリッピングしてエンジンの回転数を意図的に上げて3 速のギアの回転数に合わせてギアが入るようにします。
※シフトダウンの方法の詳細については別の記事で解説しますのでここでは割愛します
ブリッピングは主にシフトダウンの時に使いますが、ブリッピングを習得することで狙ったエンジンの回転数に合わせるアクセルワークが身につくので結果として発進の時に適度なアクセルのふかしをすることができるようになるわけです。
また、ブリッピングを応用すると渋滞のときの超低速かつ短距離の絶妙な前進や、坂道でアクセルと半クラッチだけでその場に留まることなどができるようになります。
これらの詳しいやり方は後ほど実践編の記事の方に記載します。
まずはしっかりとブリッピングができるように基礎練習をしましょう。
ブリッピングのやり方
ブリッピングはスマホのタップ操作をするようにアクセルペダルをポンッと踏みます。
エンジンの回転数の調整はアクセルペダルの「踏む深さ」と「踏む時間の長さ」の両方で調整します。
深く踏むほど、また踏む時間が長い程エンジンの回転数が上がります。
ペダルの踏む深さと踏む時間の長さを組み合わせて狙った回転数になるようにペダルの踏み方を調整します。
回転数が低くていい場合はポンッと素早く踏む感じです。もっと回転数を上げたい場合はアクセルペダルをさらにググっと踏み込むか、ポーンッとちょっと時間をかけてアクセルを踏むようにイメージして操作するといいでしょう。
ペダルの踏む深さで調整する方がやりやすい人もいれば踏む時間の長さで調整する方がやりやすい人もいるので、練習の過程でいろいろ試して自分のやりやすい方法を見つけると良いです。
ブリッピングの練習場所
練習の前に安全にブリッピングの練習ができるところを探しましょう。
ブリッピングの練習では停止状態でアクセルの空ぶかしを何度も行うので、車の交通がない場所でかつ空ぶかしの騒音で周りに迷惑が掛からない場所を探して練習しましょう。
具体的には以下のような練習場所が良い候補となります。
- 誰もいない山中の駐車場
- 誰もいない河川敷
- 周りに民家がなくて誰もいない公園などの駐車場
よく練習場所として選びがちなのがショッピングモールの巨大屋外駐車場ですが、条件としては申し分ないのですがそこは他人様の敷地であるためそこでの練習は自粛しましょう。
ブリッピングの練習方法と手順
1.とりあえずブリッピングしてみる
まず最初はブリッピングの感覚をざっくり掴むために適当に何度もブリッピングをしてみてください。
この時、アクセルの踏む深さと長さでエンジンの回転数がどう変わるかタコメータをよく見ながらアクセルを吹かしブリッピングの感覚を掴んでいってください。
2. 目標のエンジン回転数を決めてブリッピング
なんとなくブリッピングの感覚を掴んだら、次はエンジンの回転数の目標値を一つ決めます。
そしてその目標値の回転数でブリッピングできるように何度も練習します。
おおよそ±250rpm(タコメーター1目盛り)程度の誤差で狙った回転数でブリッピングができるようになった次のステップに進みます。
3. 目標のエンジン回転数をいろいろと変えてブリッピング
今度はより実践に近くなるように目標のエンジンの回転数を何度も変えてブリッピングの練習をします。
ただし、目標値に対してブリッピングできるチャンスは基本一発限りとします。
これは実際のブリッピングでは任意の回転数に一発で回せないといけないのでここの練習ではそのような制限を設けます。
一発で狙った回転数でブリッピングできなかった場合は前の練習2に戻ってブリッピングの精度を磨き、またここの練習3に戻ります。
練習2と3を行ったり来たりしてブリッピングの精度を上げていきましょう。
目標値を変えたときおおよそ2分の1くらいの確率で狙った回転数でブリッピングができるようになったらここでの練習はそろそろ終わりにします。
ここの練習であまり精度にこだわりすぎるとなかなか次のステップに進めないのである程度できるようになったら次のステップに進みます。
つぎのステップは実践編になります。
練習した成果を生かし、それを次の実践で役立てましょう。